分類できていない文章をこちらにまとめた |
カードエラーについて 概要
約3週間ほどTranscend TS2GSDCをメインのSDカードにして使っていた.
SDカードのノイズ問題で比較的優秀だったのでこれにしていたんだけど,
ある時から'Card Error'が頻発するようになった.
この問題に関してメールでZoom社に問い合わせたところ,問題のカードと
本体を送って検証しよう,ということになってちょっとドタバタした.
結論から言うと,このSDカードの不良だった.
あるきっかけで動作速度がやたら遅くなるというカード側の不良で,
エラー発生時にはSDカードの規格外の速度にまで落ちてH4ごとコケていたらしい.
Transcend TS2GSD150のほうが動作が確実.TS2GSDCはあまりよくないようだ. |
この時のZoom社とのやりとりではTranscend TS2GSD150を強く推奨していた.
すみません,安いカードを使っちゃって.
手持ちのTS2GSD150のノイズが小さければ素直にそっちを使っていたんだけど.
カードエラーについて 詳細
10月20日 Zoomにメール.内容は
- SDカードで'Card Error'が出る.どういう意味のエラーか.回避方法はないか. |
10月25日 回答が来る
- 'Card Error'とは何らかの原因でH4とSDカードが通信できなくなった状態の エラーである - SDカードの症状は再現できないので確認できない.問題のカードをお借りしたい |
10月27日 Zoom H4一式とTranscend TS2GSDCをZoomに送付
送付直前の操作で'Card Error'を意図的に起こすことに成功. 次のようなことをZoomに報告する. - 録音終了時にすぐに停止できず,数秒待ってから停止するという現象が起きる. その直後に録音ボタンを押して録音待機に入ろうとすると'Card Error'の表示. この状態ではもう録音はできない.これが問題のエラーである. - H4を再起動すると録音ができるようになるが,エラーが頻発する. - このカードに対してWinXPの不良セクタ回復スキャンディスクをかけると 頻発していたエラーがおさまる. - 問題は,最初のエラーが起きるきっかけ.通常の操作ではごく普通で まったくトラブルが起きない.しかしある操作でエラーが誘発されるようだ. - どうやら問題の操作を特定. IN1/2/MICはすべてゲインをH,ファンタム24Vにしたあとに 録音すると最初のエラーが起きるようだ. |
11月2日 Zoomから解析結果の連絡をうける.
- SDカードは不良品だった.動作速度が遅く規格外である. |
11月3日 SDカードの動作不良について詳しい説明を求める
- 通常は問題なく録音できていて,ある特定の操作でエラーが出る因果関係について. - 動作速度が遅くなる原因はH4の特定の操作にあるのではないか? |
11月7日 Zoomから回答
- このカードは一見普通に動いているが,実際には規格ギリギリの動作で 常にエラー寸前の状態で動いている. 極端に遅いメモリセルが偏在していると推測している. - エラーは,不良セクタへ読み書きできないことが直接の原因ではなく, 不良セクタの有無がメモリコントローラの処理速度に影響を与えて ただでさえ遅い処理速度がさらに遅くなってハングアップしている |
同日 こちらから御礼の回答
- よく理解できた.お手数ありがとうございました. - 不良のSDカードは資料にしてください |
11月9日 ZoomからH4一式の返送連絡
- ご協力ありがとうございました. |
以前に書いた文章
以前,扉ページにあった説明文章. こちらに退避した.参考のために残しておく. |
録音レベルについて
最初にこのページを書いたとき,入力音量によって歪みがどうのと
だらだら書いていたんだけど,いまいちわかりにくかった.
ストレートに伝えると,こういうことに.
上はデンスケのメーター,下はH4の表示に色をつけたもの.
H4のメーターをデンスケのVUメーターだと思って見るといい感じ. -12dBFSを0VUだと思ってレベルを突っ込めば,まず間違いなくOK. |
-12dBを超えるとダメなの?いやそんなことないよ.全然OK.
クリップ直前の最大歪みでTHD0.4%,大抵は接続するマイクの歪み以下っす.
レベルを突っ込むと甘く大味に,控えめにするとピュアな感じに.
-12dBより上を使いたくないんだけど大丈夫?
うん,S/Nがいいので上位2ビット12dBを削ってもまだ85dB以上のS/Nを維持できるよ.
(RMS; A特性; ライン入力; ゲインLのとき)
-12dBを基準にするのって根拠はあるわけ?
ないよ.ないない.計測結果の勢いで書いてます.
アナログVUからdBFS系への変換時,正式な規格では0VU=-14/-18/-20dBFSという値が
普通だよ.-12ってあまり聞かない.
だけど・・・
あれ?
音質の詳細 2 歪みについて
歪みについて気になったので調べてみたところ,
リニアで一様に分布する歪みではないことがわかった.
→ RMAA: 入力レベルによる全高調波歪率(THD)/混変調歪率(IMD)の変化 ゲインL (1)
→ RMAA: 入力レベルによる全高調波歪率(THD)/混変調歪率(IMD)の変化 ゲインL (2)
→ WAV: レコーダ動作時のスウィープ信号の録音 (20kHz - 400Hz, 16bit/44.1kHz)
- 大きな音を入力すると歪みやすい - 小さな音は歪まずにクリア - 歪むときは高音域からダメージを受けてゆく |
ということが判明.ひずみ方の特徴は
- 小さい音量では低音域から高音域まできちんと録音できる - 入力音量を上げてゆくと,高音域の入力音に実際には存在しない 低音が付帯するようになる - デジタルクリップ直前の-3dB以上の音量では,高音域が かなり減衰してしまう.全音域に歪みがあらわれる. - この歪みは,生録音では聴感上はっきりと判別できない. 良く言えば音の暖かみが増す傾向,悪く言えば音が濁る傾向を わずかに感じる程度. - しかしシンセサイザの一部の音色や,テストトーンを入力すると 音量に応じて明確に歪みがあらわれる. |
というもの.
実にアナログ的だ(笑).
たとえば録音時において,レベルメータで-10.5dBを示すサイン波を入力したとき
サイン波の周波数が16kHzを超えると,入力していない低い音がうっすらと記録されて
再生時に聴こえるようになる.サイン波の音量を-9dBに上げると,限界の周波数が
下がり,10kHzを超えるサイン波には付帯音がする.また高域がだんだん失われてゆく.
-6dBでは4kHzに限界が下がる.-3dBまで上げると全域で付帯音がして,高域は歪みに
隠れて消失してしまう.以上はゲインL/M/Hのすべてで共通.
つまり,Zoom H4では普通のデジタルレコーダと違ってデジタルクリップ前に
音が歪んじゃうので,録音レベルの追い込みに一癖あるようなのだ.
実際の録音では,マイク入力のときはあまり障害にはならない.
突発的大音量でのクリップを防止するために-12dBほどでメーターがピクピクして
いるのが適正入力だし,大音量時に少しくらい歪んだとしても,かえって迫力が出て
いい感じかもしれない.耳で聞いても歪みによる欠損を判別できない.
一方,既製品の音楽など音量の安定した音源をライン入力で取り込むときは,
最大値をぴったり0dB〜-3dBにするような音量調整をしがちだけれども,そういう
ことはしないほうがいいようだ.
平均値を目安に,クリップ防止のマージンを大きく取るような感じで,普通の
デジタルレコーダよりも低めの音量,ラフな調整がH4にはあっているようだ.
また,外部マイク使用時に繊細な音質を売りにするマイクを使う場合には,
レベルの追い込みを緩めにしたほうがマイクの持ち味を生かせるかもしれない.
この歪みは,安い機器でS/Nを向上させるための,Zoom社独自の エンファシス/デエンファシス技術によるものとの噂を聞いた.詳細は不明. |
この歪みの話は,S/Nの数値と相関関係にあることに気づく.
つまりS/Nの「良い数値」は額面通りそのままには受け取れない・・・みたい.
でも耳で判断する限りはS/Nも音も良い印象なので,総合的な使い勝手と
音質には,現時点の製品として十分納得のゆく仕上がりだと感じた.