USBオーディオ機能のv1.10での改善について

今回,システムv1.10で改善したとのことで,早速試してみた.
結論から言うと「良くなってる!」

v1.0とv1.10の録音結果を比較してみた.
USBオーディオ機能でサイン波を録音した結果を比較する.

usb_recording_comparison.mp3

1.H4 System v1.0 Sine, 1kHz
2.H4 System v1.10 Sine, 1kHz
3.H4 System v1.0 Sine, 4kHz
4.H4 System v1.10 Sine, 4kHz
5.H4 System v1.0 Sine,10kHz
6.H4 System v1.10 Sine,10kHz

の順番で約5秒ずつ並べた.

v1.0で問題だったサイン波でビリビリと音が割れる症状が無くなっている.
単体レコーダ時の音質とほぼ同じと考えてよさそうだ.RMAAの結果を見る.

→ RMAA: USBオーディオ動作時の録音/再生 (v1.10)
→ RMAA: 単体レコーダ時の録音再生

次に,高音域の特性を比較してみる.

USBオーディオ (v1.10)単体レコーダ
この通り,録音時の測定値はUSBオーディオと単体レコーダでほぼ同じになっている.



やってくれたぜ Zoom.

いやあ,Zoom H4を買った当初はUSBオーディオ機能なんてどうでもいいと
思ってたけど,実物を眺めてると確かにUSBオーディオとしても使いたくなるような
そんな形をしてるんだよね.

H4の購入者なら誰でも,単体レコーダ時と同じ音質でUSBオーディオでも
使えるはずと期待するし,それが自然な使い勝手だから,技術的に難しくても
たとえ録音だけでも何とかしてほしいと願っていた.

今回の改善でいっぱいいっぱいで,再生時の音質改善やMacへの対応は無理っぽい
らしいけど,モバイル録音ではWin系ノートとの組み合わせが多いだろうし,H4は
録音メインのものだから俺的にはかなり満足してる.
よくやってくれたという気持ちです.

前回(システムv1.0)の測定結果との比較

以前掲載していたv1.0の測定結果と比べてみる.

→ RMAA: USBオーディオ動作時の録音/再生 (v1.0)
→ RMAA: USBオーディオ動作時の録音/再生 (v1.10)

前回の測定値は,録音時のIMDが5〜10という困った数値である以上に,
グラフで見る周波数特性がちょっとおかしくて,レコーダ動作時と全く
異なっていた.そのため「USBオーディオ機能は完全別系統の超安物チップ
(A/Dもオールインワンの安物チップ)を使っているのでは?」と疑問を呈したが,
v1.10はそれを覆す結果になった.

Zoom社の説明によると,音質劣化の原因は,PC側とH4のクロック同期と
ソフトウェアの問題とのこと.アナログ的な要素はほとんどないらしい.

さて,そこで気になるのがv1.0のS/Nの数値なんだけど,v1.10に比べて
悪い結果になっている.これはv1.10でS/Nが向上したわけではなくて,
前回の測定時に私がミスをして悪い数値になってしまったようだ.

v1.0の計測時にミスをしてしまい,不当に低いS/N値を出してしまっていた.
原因不明のノイズ(ハム音)の影響で,おそらくグラウンドループだと思う.
不注意でごめんなさい.



測定風景.ごちゃごちゃやってるうちにPCとミキサの間で
グラウンドループができてしまったようだ.

USBオーディオ機能のまとめ

Zoom H4のUSBオーディオ機能は次のようなもの

- Windows XPまたはMac OS X 10.2以降に対応
- 16bit/44.1kHzと16bit/48kHzに対応

- 24bitまたは96kHzには対応していない
 (24bitは欲しかった)

- 単体レコーダ動作時とほぼ同じ品質で録音できるようになった
 (v1.10以降,WinXPのみ)

- 再生音には特定の場合にノイズが混じって歪む問題がある
 (v1.0のときと同じ)

- WinXPではMME/DirectX/WDM/ASIOに対応している

注意点
- USBオーディオ機能で再生して録音結果を確認すると,正常に録音できているのに
 ノイズが混じって歪んでいるように聴こえることがある.
 録音結果のシビアな判断には別の再生機器を用いて行ったほうがいい.

WinXPでの動作

日常使うオーディオデバイスとして数時間使ってみた.(H4の設定はWinodwsモード)

再生機能のテストを中心にドライバの完成度と挙動を調べた.
MMEでの録音再生,DirectXでの再生は安定して行えた.

44.1kHzでの接続時
- DirectX: iTunes 7.0.1.8 44.1kHz プチプチと再生が途切れる (*)
- DirectX: iTunes 6.4.3 正常
- DirectX: WinAmp + DirectX + mp3 44.1kHz 正常
- DirectX: dxdiag 8bit/16bit 22kHz 正常動作 (ハードウェアバッファ無し)
- DirectX: CounterStrike: Source (FPSゲーム) 正常動作 (長時間安定して動作)
- MME: システム音(22kHz)の再生 ノイズっぽい (特に問題ではない)
- MME: SoundForge 6.0: 44.1kHzは正常.22,32,48kHzを再生できるがノイズっぽい.
- MME: 44.1kHzの録音は正常

48kHzでの接続時
- DirectX: iTunes 7.0.1.8 44.1kHz 音が出ない
- DirectX: iTunes 6.4.3 未調査
- DirectX: WinAmp + DirectX + mp3 44.1kHz 音が出ない
- DirectX: dxdiag 8bit/16bit 22kHz 正常動作 (ハードウェアバッファ無し)
- DirectX: CounterStrike: Source (FPSゲーム) 音が出ない
- MME: システム音(22kHzの)の再生 正常
- MME: SoundForge 6.0: 48kHzは正常.22,32kHzの再生も正常.44.1kHzは音が出ない.
- MME: 48kHzの録音は正常

48kHz動作時の再生音は全般に高音質に感じる
不必要なリサンプリングを回避している?

* iTunes 7.xのトラブルはRMEやESIのオーディオカードでもよく報告されている.
 iTunes 6.x時代にはなかった現象でiTunes 7.x側の問題のようだ.

ASIO その1 純正のASIOドライバについて

驚いたことにZoom社純正のASIOドライバが供給された.

H4 ASIO Driver Version 1.0.0.1
http://www.zoom.co.jp/japanese/download/software/h4.php



これはとても面白い試みだと思う.次の組み合わせで実験してみた.

Zoom H4:システム v1.10
接続モード:USB-Audio/Windowsモードで接続
ドライバ:H4 ASIO Driver v1.0.0.1
DAW:Cubase LE (H4の付属品)
PC:Athlon64 3000+/Leadtek K8N/RAM 1GB (Web制作用PC)

結論から言うと,ちょっと不安定だった.
v1.0のときはもっと安定していたような.

- Buffer: 144 samples Latency: 4.90ms (44.1kHz)
 負荷が高くでまともに動かない

- Buffer: 216 samples Latency: 7.35ms (44.1kHz)
 よく動く.ソフトウェアシンセの手弾きに追従する.
 しかし時々引っかかったように止まってしまう.
 (発音や録音がいきなり途切れて,1〜3秒後にまた動き出す現象)

- Buffer: 486 samples Latency: 7.35ms (44.1kHz)
- Buffer: 1093 samples Latency: 37.18ms (44.1kHz)
 バッファを増やせば完全に安定するかと思ったが
 そうでもない.20分に一回くらい止まってしまう.

- Buffer: 2458 samples Latency: 83.61ms (44.1kHz)

v1.10のASIO接続の安定性について悩んだときは
簡単なトラブル回避方法がある.それは...

Macモードで接続すればいい

実はWinXPとの接続でもMacモードが使える.Macモードはv1.0と同じ方式だから.
Macモードでは引っかかってとまってしまう症状は出なかった.

DAWの操作性を上げたいときは,録音品質は犠牲になるけれど緊急避難として
Macモードで接続してみるといいかもしれない.

ASIO その2 ASIO4ALL (v2.7)について

ASIO4ALL (フリーの汎用ASIOドライバ) の動作について

- v1.10のWindowsモードで接続して検証
- ソフトウェアシンセの手弾きでは純正ドライバより安定している印象
- しばらく使っているとCPUメーターが異常な値を示す
- ASIO4ALLの設定パネルを出して閉じるとCPUメーターが直る
- 設定内容は次のようなもの



ASIO4ALLでも,Macモードで接続したときは安定して動作した.
MacモードではCPUメーターの症状は出なかった.

WindowsモードとMacintoshモード

- v1.10からAudio I/Oでの接続時にWindowsとMacintoshの
 いずれかのモードを選択するようになった.

- Macintoshモードはv1.0と同じ通信方式のこと.
 実は,Macモードを選択してWinXPマシンにつないでも接続できる.

- Win/Macの設定をH4に記憶させたいときは,USB-Audioで接続した状態で
 'MENU'ボタンを押して接続終了(Terminate The Connection)すると
 その時の設定状態がSDカードに保存される.
 MicとIN1/2の切り替え,44.1/48kHzの切り替えなども同時に保存される.

以前,Zoom社と簡単なメールのやりとりをしたときにうけた説明のこと.

USBオーディオ動作時,PCとH4はどちらもクロックマスターにならず
それぞれワードクロックが独立して自走しているそうだ.
H4の内蔵クロックでA/D後に,H4のDSPがPCの要求するクロックにあわせて
波形を補間して(!)通信しているとのこと.

Windowsモードとは,その補間(リサンプリング)をH4のDSPではなくPC側で行う
通信方式とのこと.
この話には色々突っ込みたいところがあるけど,とにかくそういう話です.

WAVEファイル

USBオーディオ動作時のスウィープ信号の録音 (20kHz - 400Hz; v1.10)
USBオーディオ動作時のスウィープ信号の再生 (20kHz - 400Hz; v1.10)
USBオーディオ動作時のサイン波の録音 (1kHz, 4kHz, 10kHz; v1.10)
USBオーディオ動作時のサイン波の再生 (1kHz, 4kHz, 10kHz; v1.10)

USBオーディオ動作時のサイン波の録音 (1kHz, 4kHz, 10kHz; v1.0)

RMAAテスト結果

USBオーディオ動作時のRMAAテスト結果 (v1.10)
USBオーディオ動作時のRMAAテスト結果 (v1.0)

ドライバの導入について (Windows XP)

- Zoom H4をまだ接続したことのないPCの場合,
 最初にH4を'AUDIO I/O'モードで接続したほうがいい.

最初の接続が'CONNECT TO PC'(USBストレージ)モードだと
正しいドライバが入らないことがある.

- USBストレージモードではうまく接続できたのに,
 'AUDIO I/O'モードで接続して,うまく認識しない場合

 1.コントロールパネル -> システム -> デバイスマネージャで
  「?」マークが出ていないか確認.

 2.「不明なUSBデバイス」などとなっていたら,
  そのデバイスを一度削除する.

 3.一度H4を抜いて,再度'AUDIO I/O'で接続する

 これで正しいドライバが入るはず.

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