やってくれたぜ Zoom H4

- 重要 - ファンタム電源のノイズは問題が無いことがわかりました → 詳細

Zoom 社製 小型ステレオ録音マシン H4 についての自分用のメモです.
2006年10月6日に入手して9週間ほど使用.この段階での結論を書くと

- とても良く出来た製品である
- 何も考えずに普通に使うだけで音楽・音響的に適度な品質の録音結果が得られる
- 素直な音.S/Nも悪くない.-12dB以下の測定入力では実にフラットで優秀
- しかし大きな音量では丸くなって色がつく.レベル管理に独特の感覚が必要
- USBオーディオ機能はオマケ的だがv1.10で実用レベルの録音品質になった

という感じです.

使い勝手について



素晴らしい.
操作系がこなれていない印象はあるけれども,致命的なものではない.
それなりに十分快適に使える.

見た目は悪くない.
最初に発表された画像を見たとき,どうなることかと心配したけれど
「実物のほうがずっといい」.
特にカメラ用ミニ三脚に固定した姿は素晴らしい.

デジカメ用のKenko製ミニ三脚なんだけど,ずっと付けっぱなし.
こいつは足がクネクネして微妙な角度が付けられるので,
液晶画面を見ながらの日常操作時にも重宝する.
今度 Gorillapod | @ヨドバシ を使ってみたい.

音質について

基本的に,手軽によい音で録音・再生できる製品になっている.
Zoom H4の音質は次のようなもの.

- 測定値はすばらしい.S/Nと周波数特性は良い.しかし歪み特性が悪い.
- 聴感では,若干ディティールが落ちて「使いやすい音」になる感じ.
- H4は入出力部にエンファシス・デエンファシス回路を用いてS/Nを稼いでいる.
- そのため驚異的なS/Nを保つ.しかし大音量時に高音域に歪みが出る副作用がある.

- その他にも特定の状況であらわれる小さな歪みがいくつか見られた.
- 超低域に極小音量でSDカードへの書き込み電流によるノイズが入ることがある.
- ファンタム電源はノイズの心配はない.実用的に使える

音の傾向として,設計の制限の中でよく練られたフラットな音だと感じた.
デジタル物にありがちな細くキンキンした音にはならないのでとても助かる.
しかし今風のハイファイ音には届いていない.
音の立ち上がりが遅く独特の滲(ニジ)み感がある.(それがよい方向に働くこともある)

録音レベルを-0dBまで追い込むのは避けたほうがいいようだ.
レベルメータで-12dBまでは全く歪まないが,それを超えると歪みがあらわれる.
特に高音域が少しずつ削られてしまう.



レベルメーターの-12dBをアナログVUメーターの0VUに見立てて,
時々メーターが-12dBを超えるくらいが丁度いいみたい.
(デジタルゲイン = 100のとき)

乾電池での低電圧駆動にもかかわらず,驚異的な数値のS/Nを確保している.
しかしこの歪みがあるので,S/Nの値は少し割り引いて見たほうがよさそうだ.

SDカードの書込動作にシンクロした小さなノイズ

内蔵マイクでゲインHのとき,無音環境で録音時にメーターが
ピクピクと動くのに気づいた.

SDカードの書き込みLEDの点滅とシンクロしたタイミングでメーターが振れる.
数種類のSDカードで実験したところ,SDカードによってノイズ音が変化した.
SDカードへのアクセスによるノイズだった.

このノイズを意識するのは電池駆動,内蔵マイクのゲインHのときのみ.
ACアダプタを使用したときや,外部入力時,ゲインを下げたときには全く目立たない.



一番ノイズ音が目立たないカードを探すために,手持ちのSDカードを差し替えて
実験した.その結果からこんな表を作った.

Transcend TS2GSD150Transcendの150倍速カードうるさい
Transcend TS2GSDCTranscendの廉価版カードわりと静か
MediaFo 128MBH4に付属するカード静か
Toshiba SD-M02G6R2W東芝の安売りカードうるさい

この時点で容量2Gでノイズが小さいTranscend TS2GSDCがベストと判断.
しばらく使っていたんだけど,この選択はあまりよくなかった.→ 詳細

Transcend TS2GSD150のほうが動作が確実です.TS2GSDCはよくありません.

つい先日,TS2GSDCと入れ替わりで2枚目のTranscend TS2GSD150を入手した.
TS2GSD150は既に計測済みだが,個体差を知るためにとりあえずこれも計測してみた.
すると意外なことに,ノイズ音が小さい!
TS2GSDCと変わらないくらいだった.TS2GSD150の個体差はけっこう大きい!

ノイズ音は型番だけではなく,カードの個体差で全然違ってくることがわかった.

いかにも「型番によって違いますよ」という感じの表を約1ヶ月掲載してしまったが,
間違いだった.型番より個体差が大きい場合があるので,実際にテスト録音をして
比較しないとノイズ音の少ないカードを特定することはできないことがわかった.

型番でノイズ音の少ない製品を選べるかのような記述はミスリードでした.訂正します.

→ 詳細

ファンタム給電について

H4は48Vと24Vの2通りのファンタム電源の給電ができる.
電池動作の機器でファンタム給電時にノイズがでてしまうのは
ありがちなんだけど,予想通りというか,XLR端子にマイクを接続しない状態で
ファンタムをONにすると,キーンというノイズ音が聴こえてしまう・・・

しかし大丈夫.マイクを接続すればこのノイズは消えてしまう.
ファンタムは問題なく使えることがわかった! → 詳細

海外の掲示板の情報を教えていただいて,再検証しました.
このページを始めてからの約2ヶ月間,海外の掲示板から遅れること1ヶ月間
ファンタムのノイズについて誤った記事を掲載していたことをお詫びします.

USBオーディオ機能について

重要なニュースをまず最初に.

Zoom H4 システム v1.10発表.USBオーディオの録音品質が大きく向上
http://www.zoom.co.jp/japanese/download/software/h4.php

Windows XPマシンとの接続時に,録音時の音質が向上したとのこと.
実際に使ってみたところ,単体レコーダ動作時とほぼ同じ録音品質が得られた.

これには驚いた! 従来の品質と比較すると雲泥の差だ.→ 詳細

MME/DirectXの動作は安定しているようだ.今のところ変な事故は起きていない.
十分録音に使いたくなる内容になっている.
ASIOドライバでの録音はまだ安定していないようだが,H4のASIO対応を
メーカーが取り組んでいるということだけでも楽しくなってしまう.

電池/カードの蓋について

ここの作りが悪い.
一番最初にがっかりするところ(笑).
本来は片手で楽に開閉できるような設計なんだろうけど
部品の精度が悪いのかスムーズに動かない.
ちょっとコツがいる感じ.

操作感が悪いだけで壊れることはないと思う.



SDカードの出し入れについて

位置関係が微妙で少し難しい.
最終的にはSDのつめで引き出すんだけど,深爪しちゃうとひっかからない.
そんなときはカードにセロテープでつまみをつけてしのいでます.


USBストレージ機能について

転送速度が遅い.
速度は1MB/secくらい(Trascendの150倍速カードで).

この速度を見てこりゃ使えないと思っていた.
が,なんだかんだいって使いやすい機能だった(笑).
テスト時には大活躍.

ちょっとしたクリップだと3分を超えることはないし,
3分のクリップ(16bit/44kHzで30MB)なら30秒で転送できる.
時間がかかりそうなら,途中でやめて別途カードリーダを使えばいいし.

しかしやはりもっと速く転送できるようにしてほしい.

対応PCとOSについて

USBストレージ/オーディオ機能について
対応OS名が書いてないので困った.
探したらマニュアルの80ページに書いてあるのを発見.

Windows XP
Mac OS X 10.2以降

こういう大事なことは目立つところに書いて欲しい.

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